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建築家 潤 の『独断と偏見』

「復活 くたばれ建築基準法:追録の7」

 地方都市広島の街中を歩いていて「ふっ」と気がついたことがある。
色とりどりの小洒落た服を着た若い娘達や子供達が楽しそうに歓声を上げて歩いている姿を見て、何と平和な日本だこと・・・と思いながら、目線を少し上に向けた。
見慣れた建物群が目に入ってきたので、何気なく今度は目線を下げて路面を見てみた。
それは日頃歩き慣れた石で舗装されている道路なのだが、この日は不思議といつもと違う感情が湧いてきて少し私の感性に語りかけてきた(その時脳裏には中国における食品に対する衛生上の観念が同時に湧いていたものだから次の様に感じたのかもしれない)。

 道路は余りごみも落ちていなく比較的きれいに維持されているし、建物郡は建築家から見れば少々物足らないが、それなりの表情を呈し台風や地震などに対して安全であろう・・・と思わせてくれている。
恐らく日本中の街はこれとほぼ同じような表情を呈し、その状態を維持させていると断言しても間違ってはいないだろうし、この様な街を多く持っている国は世界中探してみても日本以外には見つかるまい。
 これは誰の功労であろうか?と考えたのだが、日本人の品格や品性も然ることながら、やはり官僚を含めた役人達の力によるところが大きいのであろうと認めざるを得ない。
私はよく官僚の批判をするが、優秀である官僚が本当の意味で無能だと思っている訳ではなく、国民や国益を他所に於いておいて省益「定年後の天下り先の創生など」を優先させる卑しさが情けないから苦情を呈しているだけなのだが、それでも中国や朝鮮を始めとする儒教国家と比べれば遙かにましである。だからこそ情けないと思う。

さて前置きはこの位にして、また最近新しくできた建築基準法の不思議な話をしましょう。
いかなる法であれその時代の背景や環境に大きく影響されるものである事はよく理解しているし、法の性質から言って個人の都合による個別の対応を考慮すれば法そのものが成り立たない事も知っている。
がしかし、私は世界に冠たる優秀な日本の官僚が考える法に「美学」を感じられないのが寂しい限りだ。
どちらかと言えば「場当たり的」「その場凌ぎ」「ご都合主義」「本末転倒」などといった言葉のほうがよく似合う気がしている。
 さて今日はここ最近に改正された法の二つを紹介してみたいと思います。
まず一つ目はこの様な事があること事態が不思議で仕方が無いと思えるものです。

建築基準法には「建築面積(㎡)」「床面積(㎡)」「延べ面積(㎡)」「建蔽率(%)」「容積率(%)」と呼ばれる用語の定義があります「( )内はその単位を示します」。
それぞれの言葉には定義づけがされているので、扱いが自由にはならないし、個別の説明をしようとしても、とても定義の内容が難しいので、いつものように簡略の説明にさせていただきます。

「床面積(㎡)」:建物や建物の中の部屋などで壁又は柱の中心の線で囲まれている面積のことを言います。簡略にすると内容が難しくなる場合がありますがこれもその一つで、[建物や]の部分は「1階床面積」「2階床面積」などのように各階の床面積を指し、[建物の中の部屋]については「寝室の床面積」「便所の床面積」と言ったような事になります。  

「延べ面積(㎡)」:床面積を合計したものを言います。

さてここで皆様にお考え頂きたいのですが「床面積」とは読んで字の如くで「床(ゆか)」があるところの面積を言うのであって、建物内に於いては「床」が無いところには床面積は存在しません(吹き抜けの部分などが該当します)。
 ではエレベーターの部分の床面積は一体どのように扱えばよいと思われますか?。
例を話しますと、10階建ての建物に設置されているエレベーターが5階に止まっているとすれば、5階にはエレベーターの床が存在しますが、同じ場所の他の階には床は無く穴が開いたままの空間があるだけです。
であれば、本来エレベーターの床面積は10階建ての建物の内の1階分だけを床面積に算入すれば良いと考えるのが筋だと思うのだがしかし、今まで建築基準法は10階分全ての階にエレベーターの床があるものとして「床面積」を算定の上加算させ「容積率算の定用」の「延べ面積」までも無い床なのに面積を加算させていました。

ここで少し横道に逸れますが「容積率」と言う言葉も実は不思議な言葉で、容積と言えば単位は「㎥」となるはずですが建築基準法は「㎡」で扱う「%」表示なのです。
つまり「容積」と言ってはいるが体積を表しているのではなくて、床面積の合計(延べ面積)と敷地面積の比率を言っているので「容積率」と言うより「敷地面積率」と表現しなければ一般の人には何のことやらさっぱり判らん・・・と言う事になります。
弁護士が読めば読むほど判らなくなる理由の一つは独特の定義語がある所以でもあります。

ところが去る平成二十六年七月に次のように法文が改正施行されました。
 ※「容積率」の算定のみ「各階におけるエレベーターの床面積」は算入しない。
 ※「床面積」の算定には今まで通り「各階のエレベーターの床面積」は算入する。
一体何なのでしょう?現実に存在する「床」を無くしてしまったり、実際には無い部分の「床」の面積を生じさせたりするこの改正?終戦直後から不思議な扱いをしてきているのに、六十年以上が経過して返って悪くなった気がしている。
「床」としてあるものはある!「床」として無い部分は無い!と扱うのが正常な法文だと思うが、この変な法文変更の主旨は高齢者社会に於けるバリアフリーの需要の観点からだそうだ(容積率を緩和したい意味は判るが、そもそも無い床をあることにしているから起こっているのだから、病巣の部分を改正するべきだ)。
「場当たり的」「その場凌ぎ」「ご都合主義」「本末転倒」がぴたりと当てはまると思えるでしょう。
言葉を扱うのが仕事である官僚が「言葉の意味」そのものを歪めていると思えるほどで、美学など微塵も感じられないでしょう。
「法」に美学がいるか!と言われればそれまでですが、日本の文化は世界に冠たるものであり、かつて「武士道」の美学があったが、今はどこに行ってしまったのだろう。
「法」に美学を取り込める位の能力を官僚は持っているはずだと思うので残念でならない。
 
 他の一つは長くなってしまいましたので次回に回します。

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「復活 くたばれ建築基準法:追録の6」

 まだ日中は暑さから逃れられませんが、朝夕はとても涼しくなりましたし、早朝からのあのうるさかった蝉の声は止み、街中の繁華街では植え込みの中から虫の声が聞こえてくるようになりまして、やっと秋を感じられるようになりました。
 
 さて、この一ヶ月における私の状況は?と言えば、相も変わらず実りの無い業務と、無味乾燥的で充実感の微塵も感じられない建築確認申請内容の訂正に追われてしまい、遣る瀬ない気分が続く中、今度は頸椎ヘルニアになってしまったようで、左手人差し指に
15ボルト位の電流が流れているような感覚の痺れが取れないまま気が滅入っている状況下で、追い打ちを掛けられるように持病の大腸潰瘍が暴れまして、数日間とても辛く痛い思いをしました。年を重ねるとはこの様なことを受け入れると言うことなのでしょうが、頭の中はまだ四十代半ばの感覚ですから、中々この差が埋まらず困ったものです。

 では建築基準法の不思議な話の続きをしましょう。
建物を建てる際には建築確認申請を提出して内容の審査を受けなければならないことについては以前にお伝えしていますが、実は建物が完成した時も「完了検査」なる申請手続きを行って検査を受けなければならないと「同法」で定められています。
これ以外にも建物の種類と規模によっては「中間検査」なるものがあるのですが、これに関しては行政側の思惑と実社会の現実(同法の不備?)事情が相絡まって複雑な経緯を辿った結果による部分があり、後で簡略して話します。

まずは「完了検査」から始めましょう。
この「完了検査」「中間検査」は「確認申請」と同じで申請者は「建築主」(一般的には施主と言っています)になっていますが、この中は不思議な記述内容となっていて、私も不思議さを拭えないままなのだが、未だに法改正はなされていない。
その不思議さとは何であるかと言えば建物の「使用制限」です。
例えば病院や集会所、デパートなどの建物に於いては「完了検査」に合格しなければ、完成した建物を使用することが出来ないという内容のものです。
その一方で、こと個人住宅に限っては、なんと「使用制限なし」なのです。
つまり、建築確認申請さえ提出して合法の基に工事を始めてしまえば、途中で工事の内容を変更しようが設計図書通りに造っていない建物になっていたとしても、後は野放し状態だったのです。
かつては個人住宅で「完了検査」を受けない建物がどの位あったか御存じないでしょうが、実に日本全国で7割の住宅が「完了検査」を受けていなかった事実があります。
そのほとんどは「建売住宅」だったのですが、これに関しての罰則規定が無いのだから、住宅販売会社は「完了検査費用(1万円前後)と手続き費用」を惜しみ「手抜き工事?」の発覚を恐れていたと思われるので「自首行為」などする訳が無い。
建売住宅の「建築主」は「住宅販売会社」であり、「完了検査」は「建築主」に義務付けられているものだけれども、罰則規定がないのだから、自己の金儲けの為に造る住宅に余分な金や手間暇などを掛ける気など毛頭持ってはいないと言う結果の現われであろう。
 今でこそ「住宅販売会社」と聞こえの良い名称を使っているけれども、一昔前までは質の悪い業者は「悪徳不動産屋」と呼ばれたものです。
現実に建売住宅を購入して住み始めたが、排水の接続先が無かったり、床が落ちたり、斜めになっていたりで、大金を投入にしにも拘らず苦しんだ人達の例を挙げれば限がない。
苦情を言い、手直しをして貰おうと「住宅販売会社」に掛けあっても、既に逃げた後であったり、施工の不備は施工業者のせいだと責任転嫁し、のらりくらりと誠意の無い対応が社会問題になった経緯がある。
 建築設計事務所が行う設計監理の基では「完了検査」を受けない建物は極稀であろうが、国交省はこの解決策としてどのような方針を打ち出したかと言うと、法文の改正ではなくて「中間検査の義務付け」であった。
つまり「中間検査」で構造耐力上の主要な部分さえ確認できれば、後は知~らないである。
「完了検査」を受けなくとも罰則規定が無い部分の改定はされなかったのです。
如何ですか?建築基準法の法的拘束力が及ぶのは「設計事務所」が殆どで、「建築主」や「業者」には余り及んでいない実態が少し垣間見て頂けましたでしょうか。
しかし、審査に係る費用だけはきっちりと「建築主」に負担はさせているちゃっかり者なのですよ。
 最後にもう一つ。
今当社で工事監理を行っている、岩国市に建つ鉄筋工コンクリートの住宅は「中間検査」がありませんが、木造の二世帯住宅は「中間検査」を義務付けられています。
不思議でしょう?。

 本当はもっと詳しくお伝えしたいのですが、何せ建築基準法は言葉の定義と法文内容が複雑で難しすぎて、簡略してお伝えする以外にありません。悪しからずご了解を

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「復活 くたばれ建築基準法:追録の5」

 立秋が過ぎたと言うに、まだまだ毎日が暑いこと暑いこと・・・若い時にはあまり感じませんでしたが、還暦を過ぎてからというもの、体のあちこちが故障し痛み、思うように動かず情けない思いをしています。
 世間は夏季休暇の終盤ですが、零細企業主の私は相も変わらず傷んだ体に鞭打って毎日出社し、先の仕事と残務整理に追われている日々でございます。

 さて、それでは前回の続きで、今日は耐火に関係している「石膏ボード」と言う名称の建築材料のことから話そうと思います。
この魔法の材料とでも言うべき「石膏ボード」は読んで字の如く石膏を固めて板状にしたものですが、石膏そのものは御存じのように固めてみたところでとても脆いものですから、薄い板状にすると強度不足のため直ぐに割れてしまうので持ち運ぶことさえできない代物です。
その上、材料の石膏は触ったり擦ったりすれば微細な粉を多量に生じるので、扱いにくい性質のものです。
それで、実際の商品である「石膏ボード」は「紙と紙の間に石膏を挟んだもの」となっているので、実に上手く石膏の弱点を補った商品にしたものだと感心しているのだが、実際の石膏ボードの厚さは、建築に良く使用される通常商品で「9.5㎜・12.5㎜・15.0㎜」であるが、80.0㎜程の厚いものもあり、表面に意匠加工したものなど多く用意されていて、
大きさは「910㎜×1820㎜~1230㎜×2450㎜」が一般的です。
この内で「9.5㎜は準不燃材料」として「12.5㎜と15.0㎜は不燃材料」としての防火材料の認定を受けているのである(認定元は国交省の天下り先です)。
中身の石膏は確かに不燃材料であるが、石膏を挟んでいる両面の紙はどのような贔屓目で見ても準不燃材料でも不燃材料でもなく可燃材料なのに、何故このようなことが起こるのか、なんと不思議なことでしょう。
この説明をするとすれば、余りにも話が込み入って、複雑な経緯が絡むので割愛しますが、結局のところ可燃物ではあっても「ある一定の性能があれば」準不燃材料や不燃材料に化けてしまう「都合の良い取り扱い(解釈)」をしていると言うことです。
建築確認申請においては電子顕微鏡の様な精度で審査され、無意味と感じるような訂正や修正を余儀なくされる割には、何とも自分勝手なことよ・・・と呆れてしまう。

続いては建築基準法の別な項目になるけれども「手摺」についても同じようなことがあるのでご紹介しましょう。
建築基準法 施行令第二章(一般構造)第三節 階段 の法文には建物の用途によって階段の有効幅・蹴上(階段1段の高さ)・踏面(階段の踏み面)の寸法が決められている。
その中の法文 第二十五条 には「階段には手すりを設けなければならない」と規定されている。
 今を遡ること三十数年前にもこの法文はあり、共同住宅の建築完了検査時においては、階段有効幅として、手摺の先端から反対側の壁までの寸法を測られたものです。
その一方で当時の日本で著名な建築家達が設計した建物(主に個人住宅)の階段には手摺が設けられていないものも多く、この法文が有名無実の様に扱われていることがあった。
 行政側も、こと個人住宅についてはこの「手摺」の扱いにあまり厳しい指導もしていなかったように記憶している。
 と言うのも一般的な木造建築ではモデュール(柱と柱の間隔と思って下さい)が91㎝(関東間と呼ばれていて柱の大きさは10.5㎝×10.5㎝)や95㎝(田舎間と呼ばれていて柱の大きさは12㎝×12㎝)が多く扱われていて、その柱間に階段を造るので、下地材料や仕上材料の厚み分を差し引くと階段の有効幅は78㎝前後になってしまう。
 両側に壁がある階段だと、人は肩が壁に当たらず階段を上り下りするには最低で有効幅は65㎝程度が必要であり、物を両手で抱えている場合などは78㎝では少し窮屈さを感じる階段幅である。
 「手摺」がなければ、それでも何とか階段の上り下りには支障を生じないかも知れないが、これに「手摺」を付けるとすれば、階段の有効幅は約6㎝小さくなり、階段の有効幅は70㎝程度になってしまう。
 そして、建築基準法で定められている住宅の階段有効幅は「75㎝以上」である。
さて、ここでだ、十数年前のことになるだろうか、国交省は階段に手摺を付けさせるよう厳しい指導を打ち出してきた。
これまでに手摺がないことによって生じた階段での事故が多かったせいなのか、それとも法文にあることは守らせなければならないと考えたか真偽の程は定かではないけれども、建築確認審査で厳しい要求をされるようになったのである。
 しかし、良く考えてみて下さい。今までの慣例工法で手摺を設ければ「階段の有効幅は75㎝を下回り、法律違反となってしまう」のです。
そこで、国交省はこの解決策として何を考えたかと言えば「階段に手摺を設けた場合、手摺の部分は階段の有効幅に含まなくてよい」である。
つまり階段に手摺があっても「手摺が無いものとする」なのである。
これはまるで魔法であり、「裸の王様手法」とでも呼べばよいのでしょうか?現実にある物が無かったり、可燃のものを不燃にしたりで、一体何なのでしょうかこの法律・・・。
これに振り回されて仕事をする建築家は堪ったものではありませんよ。
医師や弁護士が少し羨ましく思える理由お判り頂けますか?。
建築基準法の中は「裸の王様」がいっぱいいるので、頭の中が混乱してしまうのです。

それでは続いて次回の内容を考えておきますので・・・

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「復活 くたばれ建築基準法:追録の4」

 必ず早い内の更新を・・・と約束しながらも、建築確認申請の担当者と実の無い不毛の遣り取りに加えて記載内容の変更を何度も強いられ、別な仕事では無能な担当者に振り回される日々が続いてしまい、やっと落ち着いたので更新することが出来ました。

 前回ほんの少しだけれども建築基準法の中にある言葉の説明をしましたが、実は建物を計画するに当たって避けては通れないもう一つの面倒臭い法律が必ず絡んできまして、それは何かと言えば「防火」の関係です。
「沢山の種類がある用途地域」と「防火」の関係が複雑に組み合わされ絡み合っているものだから、より一層建築を難しくさせています。
それで「防火」の関連について少し説明をすれば、防火に関しては3種類の区分があり、これ加えて建築基準法の中では、もう一つ制限が加えられています。
それではまず防火の関係から説明しますと「防火の3種類」は「防火地域」「準防火地域」「無指定地域」です。「無指定地域」が何故3種類の内に入るのか?と思われるかもしれませんが、これが難解な建築基準法の一部だと感じて頂ければ良いと思います。
それぞれの特性を説明すれば「防火地域」は火事が起きても建物の中が燃え広がらないようにしてある規制・隣家に火事が発生しても延焼・類焼が防げるような規制・火事が起きても避難がし易い構造などを事細かに決めている地域と思って頂けると良いです。
「準防火地域」は「防火地域」と趣旨は同じだが、少し規制が緩いと捉えれば良いかと。
そして「無指定地域」にはその様な規制は無いのです。
 と言うことで規制の無い「無指定地域」を補っているのが建築基準法第22条で、俗に「法22条地域」と呼ばれていて「建築物の屋根は不燃材料で造るか又は葺かなければならない」内容となっている。藁葺き屋根やカヤ葺き屋根は造れない地域ということです。
 主に街中にある繁華街などの用途地域は「商業地域・近隣商業地域」に指定されていることが多く、殆どが「防火地域か準防火地域」と組み合わされているのが現状であるが、防火地域関連に隣接している地域では偶に「住居系」の用途地域であっても「準防火地域」が指定されていることもある。
防火に関して「無指定地域」は「商業系」以外の用地地域が殆どで、主に「住居系」であるが、火事の延焼・類焼を食い止めるために法22条の網をかぶせているのだと理解して頂けると良いと思います。

 話は逸れますが「防火」に関して建築基準法を読んでいると、その趣旨は、火が出ても建物内部には広がらないように規制しているし、避難も出来るようにしてあり、隣家にも燃え広がらず、貰い火が起きないように規制しているから大丈夫だと言っているのである。
つまり「火は出しても良い」が前提の様な気がしてならない。
私は人の生活に欠かすことのできない火は上手に扱えるような訓練や知識を身につけ、火を出さないことの教育を主体とするのが本筋だと思えるのだが・・・(嫌味かな?)。
と言うことで、前知識を踏まえて頂きましたので、この岩国市に建つ住宅の経緯を話しますと、土地は都市計画の用途地域が「商業地域」で「防火地域」となっています。

 建築主の依頼で土地の下見をして、用途地域や防火の関係を調べ、希望されている建物の概略間取りの聞き取りから始めました。
建設費用の一般的目安としては、木造で約55~60万円/坪・鉄骨造で約65~70万円/坪・鉄筋コンクリート造では最低80万円/坪位の話をしておきましたが、お一人で住まわれる予定だと言うことと平屋建ての希望であった為、大きな規模(面積)にはならないだろうと想像して、恐らく木造でも建築可能であろう・・・との推測を持って企画を始め、希望の間取りを纏めながら、まず第一案の計画図を作成して打ち合わせを重ねて行く中、数度に渡る計画変更で段々と建物面積が大きくなって行き、とても一人住まいとは思えない規模になってしまいました。

 当初は木造で建設可能と考えていたけれども、この規模になると木造では出来ないかも・・・と不安が過り、膨大な時間をかけて建築基準法と取っ組み合いが始まりました。いくら内容を読んでみても建設不可とは書いてないけれども、どのような構造(仕様)にすれば建設可能であるかが書いてないのである。
設計事務所をしている何人かの知人にも声を掛けて相談もしてみたが、彼らも今までこの様な事例に遭遇したことがない様で、明確な回答は返ってこなかった。
 要するに彼等にもどのようにしたら防火地域内に木造の建築物(一定面積以上)を建築できるか知恵が及ばないと言うことなのである。

 話が前後してしまいますが、では一体何が木造建築を不可能にしているかを説明すれば、建築基準法第六十一条の法文で「防火地域内においては、階数が3以上であり、又は延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。」に引っかかってしまうのです。
 この法文の解釈は「①:階数が3以上であり」とあるので、3階建以上の建物はその延べ床面積に関係なく「耐火建築物にせよ」であり、「②:延べ面積が100㎡を超える建築物」については、階数に関係なく「耐火建築物にせよ」となっている。
つまり、平屋建てであっても延べ面積が100㎡(約30坪)を超えれば「耐火建築物」にしなくてはならないのです。 
 本来は言葉の意味からだけ捉えれば、木造の建物を「耐火(火に耐える)建築物」に出来るはずもないものだが、建築基準法では建設不可とは謳っていないのだから、話はややこしくなるのです。
で、色々と調べてみたところ、ある建築関連の協会には本来「可燃である」木造建築物に魔法を使うが如く「耐火」に出来る手法があるようで、それを調べてみた。
そうすると、何と!木の柱や梁・床などを石膏ボードで持って3重に張り固めれば何とか出来そうな記述があった。
これをそのまま実行すれば10㎝×10㎝の木の柱は25㎝×25㎝の大きさの柱に化けてしまい、部屋の中はデコボコだらけとなる上、木の柱に懸る重量はとんでもなく大きくなってしまう上、梁や壁・床についても同じことが言えるので、耐震には逆行するようなことになってしまうのです。
工事金額も倍近くに跳ね上がってしまうので、木造でも建築可能となってはいるが、工事費が鉄筋コンクリート造と同じくらいになり、耐震には不利な方向へ向かって行くのでは、とても建築主に勧めることなど出来やしない。
一体これは何なんだ!と言いたくもなり、最終結論を出す前に、建築確認審査機関を訪ねて「何か良い方法はないか?」を相談したところ、「今まで審査した例がない、鉄筋コンクリートの壁式構造にしたら良いのでは・・・。」とそっけない返事が返ってきたのである。
その様なことは言われなくても判っている!それでも何とか建築主の懐を痛めないで希望の建物を建築する方法はないものかと思っているから相談しているのに困った奴らだ。

その様な経過で、結局、平屋建ての個人住宅を木造で作ることが出来ず「鉄筋コンクリートの壁式構造」になってしまったのだが、余りにも厳しいこの法文に何とかならんか!と怒りが湧いてくる。
「せめて、個人住宅の平屋建てで、延べ面積が200㎡以下は除外する」とかにして欲しいものである。
建築基準法が施行されて60年有余年、施行当時の社会情勢は戦後間もない時期である。繁華街に100㎡の住宅を建設することすら贅沢なことで、稀であったかもしれないが、その後の社会状況は一変し、100㎡の個人住宅を持つことが贅沢でもなければ稀でもない時代になった今、本当の規制緩和はこのようなことに及ぶべきと思うが、机上だけでものを考える官僚や無能な政治家の言う「国民の為」が空々しい。

次回は「可燃材」であるはずの「木」が何故「耐火材」に化けることが出来るのか不思議な魔法について考えてみましょうか。

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「復活 くたばれ建築基準法:追録の3」

 木造2階建て在来工法の二世帯住宅「延べ面積147.45㎡(44.6坪)」は設計を終えて、確認審査機関に確認申請書を提出したところですが、設計者の立場から見れば、社会的な見地や近隣の環境を考慮してみても、大した影響が起こるとは思えないようなことでもまるで電子顕微鏡を覗いた世界で法を適用してくるものだから堪ったものではない。
詳しい話をすれば、膨大な説明が必要になるので、割愛しますが、建設に係り合っていない方などが聞けば「バカバカしい!」と一笑されるような内容を真剣勝負で挑んでくるので余分な手間を掛けさせられることになる。やれやれである。
と言ったところで少々気が滅入り加減でのブログ更新です。

山口県岩国市岩国駅より北方向徒歩約5分位の場所に敷地面積452.12㎡(約147坪)・延べ面積182.76㎡(約55.3坪)鉄筋コンクリート造平屋建ての個人住宅が先月工事着工の運びとなり、現在その工事監理を行っているところです。
 建築の設計に携わっていない方にとって、この書き出しでは何も不思議に感じられないと言うか、何も違和感を覚えることはないと思うのですが、次のこの言葉に注目です。

 「鉄筋コンクリート造」と「平屋建て」です。
こう言えば「えっ 平屋建てで鉄筋コンクリート造なの!何故?」と、ここでやっと少し不思議に感じて頂けるのではなかろうかと思います。
尤も、鉄筋コンクリートの建物が好きで堪らず、工事費が木造家屋の倍近くになろうとも、意にも介さず・・・と言う方は別であるが、そうでない方はやはり工事金額・工事期間・日本の気候風土、木の材料から来る香りや肌に馴染む感覚などを総合的に考慮し、結果として木造の建物を望まれる方の方が圧倒的に多いのが日本の現状であろうと思っている。
 今回のこの住宅の場合はどちらであったのかと言えば、後者なのだが、それなのに何故鉄筋コンクリート造の住宅となったのか?いや、何故鉄筋コンクリート造にしなければならなかったのかが今日の本題なのです。
 その答えを簡単にお伝えしたいと思うのだけれど、建築基準法関連はとても内容が複雑なので、今回の話はとても長くなってしまいます。
そこで今日はその準備段階として次回からの文を読んで頂く上で最低必要と思われる言葉の意味を列記しますのでご理解下さい。

①:都市計画法の中に「用途地域」なる言葉があります(この法は建築基準法ではありませんが、大きく関わりを占めている法律です)。
 現在この「用途地域」の種類は合計で13種類あり、建築するに当たって、大まかではあるが厳しい基準が設けられている順番で列記すると第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域・指定の無い地域の13種類で、それぞれに複雑な建築規制が加えられている。
 これらを大きく分類すると「住居系」「商業系」「工業系」の3種類となり、その目的は読んで字の如く「住居系」は快適な住環境の形成を目指す地域であり「商業系」は「商業系地域」を取り囲むように作られている「住居系」の住民に対して買い物や娯楽・集会の提供を目的として商店街などを育成させる地域で「工業系」は町工場を集約させたり大工場を建設させる目的の地域となっている。

これ以降は建築基準法の内容です。
②:「不燃材料」とは「燃えない材料」のことで、石・金属・ガラスなどを指す。
③:「準不燃材料」とは「燃えにくい材料」のことを意味するのだが、燃えるものではあ るけれども燃えにくい材料だと言うことだから、その程度と境目は現実問題のとして捉えると、とても不明瞭で何らかの定義付けをしなければならない材料となる。 
④:「難燃材料」とは③の「準不燃材料」に少し及ばない材料と理解すれば良いかと・・・。
⑤:「耐火」とは火に一定時間耐えることが出来る材料のこと(燃えない意味とは違うのですから話がややこしくなるのです)。 
⑥:「準耐火」とは⑤の「耐火」より少し程度が落ちるものと理解すれば良いかと・・・。
⑦:「延焼の恐れある部分」とは隣地境界線と前面道路の中心線より自分の敷地側に向かって建物の1階は3.0mで2階以上は5.0mの範囲を指す。
⑧:「耐火建築物」とは一定時間火に耐えることが出来る構造(柱・梁・階段・屋根・外壁等の部分を指定している)の建物で「外壁で延焼の恐れある部分」にある開口部(窓・出入り口など)は防火設備(防火戸)を有していなければならないもの。
⑨:「準耐火建築物」とは表記が難しすぎてとても説明が出来ないので耐火建築物より少し耐火性能が劣る建物であると理解して頂ければ良いかと・・・。

嘘を書く訳にはゆかないので、苦労する所なのですが、読まれても定義付けが何だか曖昧で良く判らない所があろうかと思います。でもこれが建築基準法なのです。

  次回に続けますが、早いうちに必ず更新します。

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